3行まとめ
このテーマをもう少し広げて見るなら、Amazon Aurora PostgreSQL 18.3対応とは:B-tree skip scan、pg_roaringbitmap、移行前チェック と Amazon QuickのMCP向けVPC接続とは:社内ツールをAIアシスタントにつなぐ前に確認すべきこと も合わせて確認してください。RDS for SQL Server BYOMの移行判断とあわせて、データベース更新時の互換性・移行前確認を比較できるため。
Active Software AssuranceとLicense Mobilityの条件を満たすSQL Serverライセンスを、RDSで使う選択肢。
SQL Server license feeは外れる可能性があるが、compute、storage、I/O、data transfer、Windows OS feesなどは残る。
対応リージョン、Enterprise/Standardの2019/2022、BYOM engine version、SSAS/SSRS非対応を確認する。
安くなるかどうかはSQL Serverライセンス費だけでなく、契約条件と移行後の運用費を合わせて見る。
既存SQL ServerライセンスをAmazon RDSに持ち込める選択肢が出た
AWSは2026年6月2日、Amazon RDS for SQL ServerでBring Your Own Mediaを開始した。既存のMicrosoft SQL Serverライセンスを、MicrosoftのLicense Mobility through Software Assuranceを通じてRDSで使うための仕組みだ。オンプレミス、他クラウド、またはAmazon EC2上のセルフマネージドSQL Serverから、RDSの高可用性、バックアップ、監視、パッチ管理へ移りたい組織に向く。
安くなる可能性があるのはSQL Serverライセンス費で、総額ではない
BYOMではAWSがSQL Server license feeを請求しない一方、compute、storage、I/O、data transfer、Windows OS fees、移行期間中の二重稼働、既存ライセンスのSoftware Assurance維持費は別に見る必要がある。License IncludedとBYOMの比較は、料金ページと契約条件を合わせて確認する。
東京は対応リストにあるが、リージョンと機能制約を先に見る
Amazon RDS User Guideの対応リージョンにはAsia Pacific (Tokyo)が含まれる。一方、通常のRDS for SQL Server BYOMの対応リストではAsia Pacific (Osaka)は確認できない。SQL Server 2019/2022のEnterprise EditionとStandard Edition、BYOM engine version、メジャーバージョンアップ、クロスリージョン操作、SSAS/SSRS非対応を先に確認したい。
Amazon RDS for SQL Server BYOMで何が変わったのか
- 1ライセンス条件を確認
Microsoft License Mobility through Software Assuranceを通じて既存SQL Serverライセンスを使えるか確認する。
- 2RTM ISOを用意
SQL ServerのRTM installation mediaをMicrosoftから取得する。
- 3S3へ配置
Amazon RDSが参照できるS3バケットへSQL Serverメディアをアップロードする。
- 4RDSで利用
BYOM engine versionを作り、RDSのバックアップ、監視、可用性、パッチ管理へ寄せる。
Bring Your Own Mediaは、ライセンスだけでなくインストールメディアの準備も前提になる。
Amazon RDS for SQL ServerのBYOMは、既存のSQL Serverライセンスを持つ企業が、RDSのマネージド運用へ移るための選択肢を増やす発表だ。AWS News Blogの2026年6月8日Weekly Roundupでも主要見出しとして再掲されており、同じ週にはAWS TransformでRDS for SQL Server移行のTCO assessmentも発表された。需要の中心は、単に新機能を知ることではなく、既存ライセンスを使えば移行費用と運用負荷をどう見直せるのか、という判断にある。
BYOMは既存SQL ServerライセンスをRDSへ持ち込む仕組み
根拠
Amazon RDS User Guideは、RDS for SQL ServerのライセンスモデルをLicense IncludedとBring Your Own Mediaに分けている。License IncludedではAWSがSQL Serverライセンスを提供し、その費用がRDSの時間料金に含まれる。BYOMでは、利用者がMicrosoft License Mobility through Software Assuranceを通じて既存のSQL Serverライセンスを持ち込む。
注意点
名前がBring Your Own LicenseではなくBring Your Own Mediaである点も見落としやすい。通常のRDS for SQL Server BYOMでは、MicrosoftからSQL ServerのRTM installation mediaをISOファイルとして取得し、Amazon S3バケットにアップロードする。Amazon RDSはそのメディアを使ってSQL Serverをインストールし、必要な累積更新を適用する。
つまり、BYOMは「手元の契約をそのままクラウド料金から差し引く魔法」ではない。ライセンス契約、メディア、S3、BYOM engine version、対応リージョン、RDSの作成フローをそろえて初めて使える。
対象になる利用者
AWSの発表では、オンプレミス、他クラウド、またはAmazon EC2上のセルフマネージドSQL Serverを運用していて、Amazon RDSへ移りたい顧客が想定されている。既存のSQL Serverライセンス契約が残っているため、新しいSQL Serverライセンス費をRDS側で二重に払いたくない、というケースだ。
この読者にとっての主な利点は、RDSのマネージド運用を使いながら、既存のMicrosoftライセンス投資を活用できる可能性があることだ。RDS側の高可用性、automated backups、monitoring、point-in-time recovery、Multi-AZ failover、engine version upgradesといった運用機能は、License Includedと同じ基盤で提供される。ただし、後述する制約は残る。
AWS License Managerは追跡の道具であり、契約確認の代替ではない
Amazon RDS for SQL Server BYOMはAWS License Managerと統合される。License Managerを設定すると、BYOM instancesを検出し、vCPU使用量を報告し、どのインスタンスが自社ライセンスを使っているかを追跡できる。追加料金なしで使える点もUser Guideに記載されている。
一方で、License Managerを使えばMicrosoftとの契約確認が不要になるわけではない。User Guideも、BYOM利用時には有効なSQL Server installation mediaを提供し、License Mobilityを通じたMicrosoft licensing complianceを維持する責任が利用者側にあると説明している。社内の契約管理、Microsoft側の確認、監査時の説明資料は別に持つべきだ。
LIとBYOMの違いを料金内訳で読む
ライセンス条件と費用項目が組織ごとに違うため、単純な勝敗ではなく総額と運用条件で比較する。
BYOMの話は、つい「既存ライセンスがあるなら安くなる」と短く言われがちだ。しかし移行判断では、License IncludedとBYOMのどちらが総額で合理的かを見なければならない。
| 比較項目 | License Included | BYOM |
|---|---|---|
| SQL Serverライセンス | AWSが提供し、RDS時間料金に含まれる | Microsoft License Mobility through Software Assuranceを通じて利用者が用意する |
| SQL Server installation media | AWSが提供・管理する | 利用者がSQL Server RTM ISOをS3へアップロードする |
| engine version management | AWSがエンジンバージョンを管理し、利用者が選ぶ | 対象minor versionごとにBYOM engine versionを作る、またはコンソールで作成させる |
| license compliance | AWS側のLIモデルに含まれる | 利用者がLicense Mobilityを通じて維持し、License Managerで使用量を追跡できる |
SQL Server license feeだけを削っても総額比較にはならない
残る費用
BYOMではAWSがSQL Server license feeを請求しない。これは大きな差だが、RDSの費用がなくなるわけではない。User Guideは、BYOM利用時にもcompute、storage、I/O、data transfer、Windows OS feesを支払うと説明している。
加えて、実務の見積もりでは次の費用も残る。
- 移行検証用DBと本番DBの並行稼働
- バックアップ保持期間の増加
- Multi-AZやDR構成の追加
- 監視、ログ、暗号化、ネットワーク転送
- Software Assuranceの維持費
- SQL Serverバージョンアップや切り戻し検証の工数
コスト調査を深掘りする場合は、RDSの見積もりだけでなく、移行後の利用量確認も必要になる。関連して、コスト説明の入口は<a href="https://amzn-watch.blog.mo-gmo.com/amzn-37-cost-explorer-amazon-q-cost-explanations/">AWS Cost ExplorerのAmazon Qコスト説明</a>、継続監視の入口は<a href="https://amzn-watch.blog.mo-gmo.com/amzn-42-aws-finops-agent-preview-cost-anomaly-automation/">AWS FinOps Agentプレビュー</a>で整理している。
料金ページで確認すること
Amazon RDS for SQL Server Pricingは、RDS for SQL Serverの料金が基本的に時間単位で、On-Demand InstancesまたはReserved Instancesで利用できることを示している。License IncludedではSQL Server licensing feesが料金に含まれ、BYOMではSoftware Assurance付きの既存SQL Server license investmentsを使える、と説明されている。
ここで固定金額だけを見ると危うい。リージョン、インスタンスタイプ、Single-AZかMulti-AZか、ストレージ種類、バックアップ保持、データ転送、Reserved Instancesの期間が変わると比較結果も変わる。既存SQL Serverライセンスの残存期間とSA維持費も、AWS料金ページだけでは完結しない。
AWS TransformのTCO assessmentは比較の入口になる
2026年6月8日には、AWS TransformでAmazon RDS for SQL Server migration cost assessment capabilitiesが利用可能になった。AWSの説明では、AI-powered agentsがオンプレミスSQL Server環境を分析し、RDS for SQL Server移行時のTCO assessment、BYOMとLicense Includedの比較、what-if分析を支援する。
入力としては、RVTools exports、Configuration Management Database exports、AWS Transform discovery tool、その他の第三者ツールのエクスポートを使える。評価にはDatabase Savings Plans、Migration Acceleration Programのeligibility、リージョン、resource utilization、pricing termsなども含められる。
ただし、これは見積もりと比較の支援だ。Microsoftライセンス監査の代替でも、最終請求額の保証でもない。BYOMを採用する前に、AWS Transformでシナリオを作り、Pricing Pageと社内契約の両方で裏取りする、という位置づけがちょうどよい。
対応エディション・リージョン・インスタンスを先に確認する
リージョンや対応クラスは更新される可能性があるため、本番・検証・DRそれぞれで導入直前に確認する。
BYOMの可否は、ライセンスだけで決まらない。使いたいSQL ServerのEdition、major version、AWS Region、DB instance class、移行後の運用機能がすべて合っている必要がある。
| 領域 | 本文時点の確認 | 移行前に見ること |
|---|---|---|
| Edition | Enterprise Edition、Standard Edition | Web、Express、Developerを本番BYOM前提で混ぜない |
| Major version | SQL Server 2019、SQL Server 2022 | minor versionとサポート対象の組み合わせ |
| Region | Asia Pacific (Tokyo)を含む複数リージョン | 本番、DR、検証の各リージョン |
| Instance | pricing pageで現行対応を確認 | CPU、vCPU、ライセンス単位、Multi-AZ |
| 運用機能 | RDSの管理機能を利用可能 | SSAS/SSRS、major upgrade、cross-region制約 |
対応エディションとバージョン
Amazon RDS User GuideのBYOMページでは、通常のRDS for SQL Server BYOMでサポートされるeditionとmajor versionとして、Enterprise EditionとStandard EditionのSQL Server 2019、SQL Server 2022が示されている。
Developer EditionやWeb Editionの話題は、RDS Customや非本番用途の文脈と混ざりやすい。通常のRDS for SQL Server BYOMで本番移行を考えるなら、まずEnterpriseまたはStandardの2019/2022で、対象minor version、DB instance class、リージョンが合うかを確認する。
東京は対応、ただし大阪は通常BYOMのリストで確認できない
リージョン条件
User GuideのRegion availabilityには、US East、US West、Asia Pacific、Europe、Canada、South America、Africa、AWS GovCloudの複数リージョンが並ぶ。日本の読者にとって重要なのは、Asia Pacific (Tokyo)が含まれていることだ。
一方、通常のRDS for SQL Server BYOMの対応リージョンリストでは、Asia Pacific (Osaka)は確認できない。大阪リージョンを本番やDRで使いたい場合は、導入直前にUser Guideとpricing pageを再確認し、別リージョンへ設計する必要がないかを見たい。
DR設計では、ターゲットリージョンにも同じengine versionのBYOM engine versionを作れるかが重要になる。cross-region read replicas、cross-region snapshot copies、cross-region automated backup replicationを使う場合は、後から足りないことに気づくと移行計画が止まりやすい。
インスタンス対応は料金ページとAPIで確認する
User Guideは、BYOMで使えるcurrent instance supportをAmazon RDS for SQL Server pricing pageで確認するよう案内している。記事内で固定のインスタンスタイプ表を残すと、更新に弱い。
実際の検証では、料金ページに加え、AWS CLIのdescribe-orderable-db-instance-optionsで対象engine、engine version、DB instance class、region、license modelの組み合わせを確認するとよい。DB instance classを先に決めてからBYOM可否を見るのではなく、BYOMで使える組み合わせを起点に容量計画を作るほうが安全だ。
BYOM engine versionと移行手順の全体像
- 1. 契約を確認
Active Software Assurance、License Mobility、既存ライセンスの消費単位を確認する。
- 2. メディアを取得
MicrosoftからSQL Server RTM installation mediaをISOファイルとして取得する。
- 3. S3へ配置
RDSが検証できるよう、対象リージョンのS3バケットへISOをアップロードする。
- 4. engine versionを作成
BYOM engine versionを作り、RDSがDBインスタンス作成に使える状態にする。
- 5. DBインスタンスを作成
license-modelにbring-your-own-mediaを指定し、検証、復元、切替手順を確認する。
コンソールでは自動作成できる場合がある一方、CLIやAPIではBYOM engine version作成の前提を手順書に残しておきたい。
通常のRDS for SQL Server BYOMは、License IncludedのDBインスタンスを作る流れとは少し違う。特に、SQL Server RTM ISOとBYOM engine versionの扱いを理解しておく必要がある。
通常のRDS for SQL Server BYOMの流れ
User Guideが示す基本フローは3段階だ。
- SQL Server RTM installation mediaをMicrosoftから取得し、Amazon S3バケットへアップロードする。
- アップロードしたメディアを参照するBYOM engine versionを作成する。Amazon RDSがファイルを検証し、DBインスタンス作成に使える再利用可能なengine versionを作る。
- DBインスタンス作成時に
license-modelとしてbring-your-own-mediaを指定する。
AWS Management Consoleから作成する場合は、target major and minor engine versionを選ぶと、Amazon RDSがBYOM engine versionを自動作成するため、明示的な2番目のステップを省ける場合がある。AWS CLIやAPIを使う場合は、BYOM engine version作成が必要になる。
この違いは運用手順書に残しておきたい。コンソール検証では成功したが、IaCやCLI化した途端にengine version作成の前提が漏れる、という形で詰まりやすいからだ。
通常RDS BYOMとRDS Custom BYOMを混同しない
同じBYOMでも、通常のAmazon RDS for SQL Server BYOMとRDS Custom for SQL Server BYOMは流れが違う。通常RDS BYOMはRTM ISOをS3へ置き、RDSがBYOM engine versionを作る。一方、RDS CustomではEC2 Windows AMI上にSQL Server binariesをインストールし、custom engine versionを作る流れになる。
RDS CustomのBYOMには別の制約もある。default SQL Server instanceのみ、単一SQL Server installationのみ、SQL Server Web edition非対応、evaluation version非対応などだ。RDS CustomのCEVではWindows Server 2019が唯一のサポートOSとして示され、対応CUも細かく定義されている。
通常RDSの運用自動化を使いたいのか、OSやDBの深いカスタマイズが必要でRDS Customを検討するのか。この分岐を先に決めると、BYOMという言葉だけで手順を取り違えずに済む。
SQL Server on EC2も比較対象に残るケース
OSレベルの細かい制御、SQL Server機能の自由度、既存運用ツールとの密結合、特殊なエージェント、SSAS/SSRS依存がある場合は、RDS BYOMだけで判断しないほうがよい。Amazon EC2上のセルフマネージドSQL Server、RDS Custom、License IncludedのRDSを比較に戻す。
EC2の選択肢を広く見る読者には、別記事の<a href="https://amzn-watch.blog.mo-gmo.com/amzn-41-ec2-m9g-m9gd-graviton5-ga-checklist/">Amazon EC2 M9g/M9gd移行前チェック</a>も参考になる。RDSのライセンス比較とは別に、EC2で運用責任を持つ場合の性能・世代・移行判断を分けて考えられる。
移行前に落とし穴になりやすい制約
BYOM instanceのin-place major version upgradesはサポートされない。新しいDBインスタンスと復元手順を検討する。
BYOM engine versionはAWS accountとRegionごとに管理される。検証、本番、DRで作成責任を決める。
read replica、snapshot copy、automated backup replicationでは、ターゲット側のengine version準備が必要になる。
BYOMではSQL Server Analysis ServicesとSQL Server Reporting Servicesがサポート対象外になる。
対象外のengine versionへ進むと、作成や運用の選択肢が狭くなる可能性がある。
License Managerで使用量を追跡し、契約確認と運用レビューの材料にする。
制約は組織のアカウント構成、DR設計、既存機能依存で重みが変わるため、勝敗ではなく影響範囲で判断する。
BYOMは、既存ライセンスを活用しながらRDSへ移る道を広げる。一方で、制約を見落とすと、費用試算よりも移行後の運用で困る。
メジャーバージョンアップはインプレースでできない
制約
User GuideのCurrent limitationsでは、BYOM instanceのin-place major version upgradesはサポートされない。たとえばSQL Server 2019からSQL Server 2022へ直接アップグレードすることはできない。新しいBYOM DB instanceをtarget versionで作り、native backup and restoreなどでデータを移す必要がある。
これは、移行時点のバージョン選びに影響する。SQL Server 2019でRDS BYOMへ移した直後に2022へ上げる計画なら、最初から2022を検証するほうがよい場合がある。停止時間、切り戻し、バックアップ復元、接続先切替の手順まで含めて判断したい。
BYOM engine versionはアカウントとリージョンに紐づく
BYOM engine versionは、AWS accountとRegionごとに管理される。cross-account operationsは現在サポートされていない。マルチアカウント運用をしている組織では、検証、開発、本番、監査、DRの各アカウントで、誰がどのリージョンにBYOM engine versionを作るのかを先に決める必要がある。
cross-region operationsも同じだ。read replica、snapshot copy、automated backup replicationを別リージョンへ広げる場合、ターゲットリージョン側に同じengine versionのBYOM engine versionを作っておく必要がある。
SSASとSSRSはBYOMで非対応
User Guideは、BYOMがSQL Server Analysis ServicesとSQL Server Reporting Servicesをサポートしないと説明している。既存環境でSSASやSSRSを同じSQL Server基盤に載せている場合、RDS BYOMへ単純移行できるとは考えないほうがよい。
また、SQL Server 2019 engine version 15.00.4043.16.v1は、本文確認時点でBYOM非対応とされている。対象DBがSQL Server 2019でも、minor versionやengine versionの組み合わせまで確認しなければならない。
License Manager未設定でも動くが、監査責任は消えない
AWS License Managerを設定しなくてもBYOM instancesは機能する、とUser Guideは説明している。ただしその場合も、ライセンス使用量の監視とコンプライアンス維持は利用者の責任だ。
現場では、License Managerの設定を「あとでやる」にしないほうがよい。BYOMを採用する根拠が既存ライセンスの活用である以上、どのDBインスタンスがどのライセンス消費に対応しているかを説明できなければ、費用削減の説明が弱くなる。
移行前チェックリスト
SQL Server license feeだけで判断せず、契約・対応範囲・運用制約・移行期間の総額をまとめて確認する。
RDS for SQL Server BYOMを試す前に、次の表を埋めると判断がぶれにくい。
| 領域 | 確認すること | 一次情報 | 未確認なら止める理由 |
|---|---|---|---|
| ライセンス | Active Software Assurance、License Mobility、既存ライセンスの消費単位 | AWS発表、RDS User Guide、Microsoft契約 | BYOMの前提が崩れる |
| メディア | SQL Server RTM ISOを入手できるか、S3へ安全に配置できるか | RDS User Guide | BYOM engine versionを作れない |
| Edition/version | EnterpriseまたはStandard、SQL Server 2019/2022、対象minor version | RDS User Guide | 作成時に組み合わせ不一致で止まる |
| Region | 本番、検証、DRで対応リージョンか | RDS User Guide、pricing page | 東京以外やDR先で使えない可能性がある |
| Instance | DB instance classとlicense modelの組み合わせ | pricing page、AWS CLI/API | 性能設計とライセンス設計がずれる |
| 運用 | Multi-AZ、backup、monitoring、patch、major upgrade計画 | RDS User Guide | 移行後の運用手順が詰まる |
| 制約 | SSAS/SSRS、cross-account、cross-region、unsupported engine version | RDS User Guide | 既存機能を失う可能性がある |
| コスト | LI、BYOM、SA維持費、RI、Database Savings Plans、MAP、並行稼働 | pricing page、AWS Transform | SQL Server license feeだけで判断してしまう |
| 監査 | AWS License Manager、社内台帳、Microsoft契約確認 | RDS User Guide、License Manager | 使ったライセンス量を説明できない |
ライセンスと契約の合格基準
評価基準
合格基準は、社内の契約管理者、AWS担当者、DB運用担当者が同じ説明をできる状態だ。既存SQL ServerライセンスがActive Software Assurance付きであること、License Mobilityの対象であること、Microsoft側の契約確認が済んでいること、AWS License Managerで使用量を追跡する設計があること。この4点がそろっていないなら、まだ費用削減策として承認する段階ではない。
技術と運用の合格基準
技術面では、本番と同じリージョン、同じmajor/minor version、同じlicense modelで検証DBインスタンスを作れることが最低ラインになる。作成、接続、バックアップ、復元、監視、パッチ、切り戻し、削除までを一度通し、移行手順書に残す。
特に、major version upgradeがin-placeでできない点は、将来の運用計画に効いてくる。次のSQL Serverバージョンへ移る時に新しいBYOM DB instanceを作る前提で、メンテナンスウィンドウと復旧手順を考えておきたい。
費用と意思決定の合格基準
費用面では、SQL Server license feeがRDS料金から外れる、という一点だけで承認しない。License Included見積もり、BYOM見積もり、既存ライセンスの残存価値、Software Assurance維持費、移行中の並行稼働費用、RDSの運用削減効果を並べる。
AWS TransformのTCO assessmentを使うなら、BYOMとLIの両方でwhat-if分析を作り、リージョン、resource utilization、pricing terms、Database Savings Plans、MAP eligibilityを変えた時の差を見る。結果は社内稟議の材料にはなるが、Microsoftライセンス条件の確認を置き換えない。
判断のまとめ
契約条件を説明でき、対応リージョンでEnterpriseまたはStandardの2019/2022を使い、RDSのマネージド運用へ寄せたい場合。
Software Assuranceがない、SSAS/SSRS依存がある、OSやSQL Server設定を細かく制御したい、クロスアカウント要件が強い場合。
既存ライセンス、対象リージョン、作れるengine version、移行後に使えない機能を洗い出してから総額比較へ進む。
BYOMは費用面の壁を下げる選択肢だが、ライセンス監査や契約確認の代替にはならない。
Amazon RDS for SQL Server BYOMは、既存SQL Serverライセンスを持つ組織にとって、RDS移行の費用面の壁を下げる選択肢になる。特に、Active Software Assurance付きのライセンスを持ち、東京リージョンなど対応リージョンで、EnterpriseまたはStandardのSQL Server 2019/2022を使う場合は検討価値が高い。
BYOMが向いているケース
BYOMが向いているのは、既存ライセンスの契約条件を説明でき、RDSのマネージド運用を使いたく、SSAS/SSRSやOSレベルの特殊なカスタマイズに強く依存していないケースだ。既存のSQL Server on EC2やオンプレミス運用から、バックアップ、監視、可用性、パッチ運用をRDSへ寄せたい時に候補になる。
License IncludedやRDS Customも比較すべきケース
逆に、ライセンス条件が曖昧、Software Assuranceがない、対象リージョンが未対応、SSAS/SSRS依存がある、OSやSQL Server設定を細かく制御したい、クロスアカウント・クロスリージョン要件が強い場合は、BYOMだけに寄せないほうがよい。License Included、RDS Custom、SQL Server on EC2を比較し直すべきだ。
次にやる確認
最初の一歩は、既存ライセンスの契約確認と、対象リージョンで小さな検証用DBを作ることだ。料金表を眺める前に、使えるライセンス、使えるリージョン、作れるengine version、移行後に使えない機能を洗い出す。そのうえで、LIとBYOMの総額比較に進むと、判断がかなり静かになる。
次に読むなら
参照した主な情報源
- AWS What’s New「Amazon RDS for SQL Server supports Bring Your Own Media」
https://aws.amazon.com/about-aws/whats-new/2026/06/rds-sqlserver-supports-bring-your-own-media/
- Amazon RDS User Guide「Bring Your Own Media (BYOM) for RDS for SQL Server」
https://docs.aws.amazon.com/AmazonRDS/latest/UserGuide/sqlserver-byom.html
- Amazon RDS for SQL Server Pricing
https://aws.amazon.com/rds/sqlserver/pricing/
- AWS What’s New「Amazon RDS for SQL Server migration cost assessment capabilities now available in AWS Transform」
https://aws.amazon.com/about-aws/whats-new/2026/06/amazon-rds-sql-server-cost-assessment-aws-transform/
- AWS News Blog「AWS Weekly Roundup: BYOM for Amazon RDS for SQL Server, AWS IoT Device SDK for Swift, and more (June 8, 2026)」
https://aws.amazon.com/blogs/aws/aws-weekly-roundup-byom-for-amazon-rds-for-sql-server-aws-iot-device-sdk-for-swift-and-more-june-8-2026/
- Amazon RDS User Guide「Bring Your Own Media with RDS Custom for SQL Server」
https://docs.aws.amazon.com/AmazonRDS/latest/UserGuide/custom-sqlserver.byom.html
- Amazon RDS User Guide「Preparing to create a CEV for RDS Custom for SQL Server」
https://docs.aws.amazon.com/AmazonRDS/latest/UserGuide/custom-cev-sqlserver.preparing.html
